第100話 茶会と左義長

ガラシャ

大和の検地が終わった後の光秀はどのように過ごしていたのですか?

憲三郎先生

天正8年の年末までは茶会が目立ちます。

ガラシャ

平和で良いですね。

憲三郎先生

年が明け天正9年の正月には左義長がありました。

ガラシャ

詳しく教えください。

憲三郎先生

では、今回も史料を順に見ていきましょう。

ガラシャ

よろしくお願いします。

ガラシャ

磯谷新介って・・・前も出てきましたか?

ガラシャ

磯谷久次や礒谷小四郎と関係のある人でしょうか?

憲三郎先生

親類縁者か、礒谷小四郎と同一人物の可能性もありますが、史料が少なくわかりません。

ガラシャ

気になりますね・・・。奏者ってことは光秀の家臣ですか?

憲三郎先生

そのようですね。

ガラシャ

門外で対面ということは光秀とは会えなかったのでしょうか?

憲三郎先生

この史料からは、その足で吉田兼見が上洛したことしかわかりません。

ガラシャ

急いでいたのかも知れませんね。

ガラシャ

慰労会と人事査定面談は、まだ続いていたのですね。

ガラシャ

珍しいお客様ですね。

ガラシャ

なんだか優雅ですね。

ガラシャ
憲三郎先生

干戈とは盾と矛。つまり、武器・武力または戦争のことをさします。この場合は隣国との戦争の事について光秀から伝達したものと思われます。

ガラシャ

・・・穏やかでないですね。

ガラシャ

本当にこの年は茶会続きですね。

憲三郎先生

宗及の茶会を通じて、光秀が家中の人心掌握に努めたことがうかがえますね。

ガラシャ

茶会も奥が深いです・・・。

ガラシャ

連歌会は久しぶりですね。

憲三郎先生

1月8日に織田信長は、馬廻衆と近江衆に1月15日の左義長へ参加することを命じました。

ガラシャ

左義長ってなんですか?

憲三郎先生

左義長とは小正月に行われる火祭りの行事のことです。

ガラシャ

どんな内容なのですか?

憲三郎先生

1月14日の夜または1月15日の朝に、刈り取り跡の残る田などに長い竹を3、4本組んで立て、そこにその年飾った門松や注連飾り、書き初めで書いた物を持ち寄って焼くそうです。

ガラシャ

京都のお祭りですか?

憲三郎先生

全国的なお祭りで、地方によって呼び方が異なり「どんど焼き」などと呼ばれています。「とんど」を「爆竹」と当てて記述する文献もあります。

ガラシャ

どうして爆竹なのですか?

憲三郎先生

これは燃やす際に青竹が爆ぜることからつけられた当て字だと言われています。

ガラシャ

なるほど。その左義長までの間、光秀はなにをしていたのですか?

ガラシャ

宗二って誰ですか?

憲三郎先生

宗二は堺の豪商で茶人です。千利休に20年間茶の湯を学んだ、高弟といわれています。

ガラシャ

あの有名な千利休ですか。

ガラシャ

所労というと光秀はなにをしていたのですか?

憲三郎先生

史料ではこの日、光秀は、三上大藏大夫・古市修理進・赤塚勘兵衛・寺本橘大夫・中路新兵□・蜷川弥□□へ西国出陣につき国役として普請役と知行地の開墾を命じました。

ガラシャ

三上大藏大夫・古市修理進・赤塚勘兵衛・寺本橘大夫・中路新兵□・蜷川弥□□って誰ですか?

憲三郎先生

史料が少なく詳しいことはわかりませんが、丹波の国衆のようです。

ガラシャ

□は文字が読めなかったということですか?

憲三郎先生

そのようです。

ガラシャ

西国出陣の予定があるのですか?

憲三郎先生

史料には「来初秋」とあるのですぐの話では無さそうです。

ガラシャ

確かに開墾は時間がかかりそうなので早めに指示が出ると助かりますね。

憲三郎先生

1月15日は左義長が行われました。

ガラシャ

当時も今と同じようなお祭りだったのですか?

憲三郎先生

この時の左義長の様子は史料に詳しく残っています。

ガラシャ

どんな様子だったのですか?

憲三郎先生

趣向を凝らした頭巾装束と衣装を纏い、10騎または20騎ずつを一組にして、馬の後ろに爆竹をつけて点火し早駆けさせ、安土城下町の北部へ築かれた馬場から町へでて、また馬場へもどって来させる、という趣向だったようです。

ガラシャ

ものすごいお祭り騒ぎでした・・・。

憲三郎先生

史料には見物人が群れ集まり、皆がこの趣向に感嘆した。とあります。

ガラシャ

毎年のことではなかったのですね。光秀も参加したのですか?

憲三郎先生

後の史料で、この左義長について光秀が織田信長から賞されており、光秀がこの左義長の奉行を務めたのではないかと思われます。

ガラシャ

領地だけでなく色々な行政を任されていたのですね。

憲三郎先生

この左義長を終えた光秀は、織田信長よりまたひとつ、大きな仕事を命じられます。

ガラシャ

どんな仕事ですか?

憲三郎先生

京都での馬揃えの奉行です。

ガラシャ

馬揃えですか?

憲三郎先生

詳しくは次回です。

ガラシャ

気になります!

”光秀が奉行した左義長は大盛況でした。”