第134話 朝廷の動き

ガラシャ

羽柴秀吉からの偽情報がでましたが、状況はどうなるのですか?

憲三郎先生

じわじわと波紋が広がっていきますが、翌日は朝廷が動きます。

ガラシャ

朝廷ですか?詳しく教えてください。

憲三郎先生

では、今回も史料を順に見ていきましょう。

ガラシャ

よろしくお願いします。

ガラシャ

誠仁親王は二条新御所に居て織田信忠が逃げ込んできて戦火に巻き込まれて禁裏に移動されたのですよね。京都の治安はそんなに悪かったのですか?

憲三郎先生

そうですね、本能寺の変がおきて京都の治安はあまり良くなかったようです。

ガラシャ

吉田兼見が御使に任命されたのですね。

憲三郎先生

吉田兼見は、親王の命を受けて明日早速出発することになり、緞子一巻を預かり禁裏を退出しました。

ガラシャ

誠仁親王に認められたようですごいことですね。

憲三郎先生

しかし、正本には光秀への命令の内容は記載されていません。

ガラシャ

え!?どうしてですか?

憲三郎先生

内容を隠すことで、朝廷が光秀を認めたという事実を隠すためです。

ガラシャ

確かに、内容がわからなければ良くも悪くもどちらにもとれますね。

ガラシャ

その頃、光秀はどうしていたのですか?

憲三郎先生

光秀は近江多賀神社賀茂別雷神社へ禁制を下しました。

ガラシャ

どの辺りの神社ですか?

憲三郎先生

近江多賀神社は滋賀県犬上郡多賀町に、賀茂別雷神社は京都府京都市北区上賀茂本山にあります。

ガラシャ

禁制って出陣と関係ありますよね?それにしてはちょっと距離が離れていますね。

憲三郎先生

史料にはありませんが、どちらも安土から上洛する途中にあるので、通路を確保したということではないかと思われます。

ガラシャ

なるほど。ところで徳川家康はどうしていたのですか?

ガラシャ

甲斐にお城を作るように命じる?織田軍からの応援要請が来ていましたがそちらには行かなそうな様子ですね。

ガラシャ

でも出陣準備はしているのですね。・・・どこに出陣するのでしょう?

憲三郎先生

この史料からはわかりません。この段階では、甲斐に出陣する可能性も織田軍に加勢する可能性もあります。

ガラシャ

そういえば、偽情報の余波はまだ無さそうですが、当の羽柴秀吉はなにをしていたのですか?

憲三郎先生

この日の羽柴秀吉の行動についていくつかの史料が残っています。
ひとつは、「羽柴秀吉は未刻(午後二時前後)に、備中高松を撤収し備前沼に至った。」というものです。

ガラシャ

あれ?昨日備前沼を通ると言っていませんでしたか?

憲三郎先生

この史料は後に羽柴秀吉が書かせた「惟任退治記」のものです。

ガラシャ

とても怪しいですね。

憲三郎先生

もうひとつは、「羽柴秀吉は、姫路城へ入城した。」というものです。

ガラシャ

なんだか、こちらが正しいような気もしてきますね。でも、どうして羽柴秀吉は行動を遅く偽造したのでしょう?

憲三郎先生

史料からはわかりません。おそらく「西国に居て本能寺の変を知ってから移動するにしては行動が早すぎる」と疑念を抱かれないように画策したのかもしれませんね。

ガラシャ

史料がもっと欲しいですね。羽柴秀吉がこちらに向かっているということは、毛利氏はどうなっているのですか?

ガラシャ

無事に和睦が結べたのですね。

憲三郎先生

桂左太・岡宗左は毛利氏の家臣です。

ガラシャ

・・・あれ?織田信澄だけで無く柴田勝家も謀反したことになっていますが、どこで情報が錯綜したのでしょう?

憲三郎先生

織田信孝が自害したことにもなっていますね。史料からはわかりませんが、おそらく羽柴秀吉からの情報なのではないかと思われます。

ガラシャ

ここにも偽の情報を!?

憲三郎先生

そして偽情報の力かどうかはわかりませんが、状況がまたひとつ悪くなっていきます。

ガラシャ

え!?どういうことですか?

憲三郎先生

続きは次回です。

ガラシャ

気になります!

”朝廷は光秀に京都を鎮めるように勅使を派遣します。”