第133話 安土城の光秀と始まる情報戦

ガラシャ

本能寺の変から3日が経ちましたね・・・。光秀が近江を平定して安土城に入ったということですが、このあとはどうなっていくのですか?

憲三郎先生

この日は目に見える大きな動きはないものの、確実に状況の変わる出来事が起こります。

ガラシャ

動かないのに状況が変わるのですか?

憲三郎先生

情報戦の開幕です。

ガラシャ

詳しく教えてください。

憲三郎先生

では、今回も史料を順に見ていきましょう。

ガラシャ

よろしくお願いします。

憲三郎先生

まずは前回も注目していた徳川家康の史料です。

ガラシャ

はい。

ガラシャ

松平家忠は徳川家康の家臣ですね。どこに出陣するのでしょう?

憲三郎先生

松平家忠は伊勢・尾張より徳川家康へ使者が来ており味方せよとのことであろうと思いました。

ガラシャ

伊勢と尾張ということは、織田軍からの援軍要請でしょうか?

ガラシャ

徳川家康はどうするのでしょう?

憲三郎先生

この後も出陣準備はしますが、なかなか出陣には至りません。

ガラシャ

この後の史料の内容が気になりますね・・・。そういえば、光秀は安土城に入ったのですよね?

ガラシャ

京都にいる公家の耳にも情報が入ったのですね。

ガラシャ

蒲生賢秀は織田信長の奥方を連れて逃げ出したのかと思っていましたが、当時の感覚だと明け渡されたということになるのですね。ちょっとの違いが面白いです。

ガラシャ

音信はたしかお便りのような意味でしたよね。贈り物を送るということは敵ではないですよというアピールということですか?

憲三郎先生

そうですね、光秀が近江を掌握したので味方に付いても大丈夫であろうということかもしれません。

ガラシャ

大和の人々は同じように考えたのでしょうか?

憲三郎先生

多聞院の英俊の史料も見てみましょう。

ガラシャ

はい。

ガラシャ

光秀軍に合流した筒井順慶の軍勢ですね。

ガラシャ

聟って難しい漢字ですがなんのことですか?

憲三郎先生

聟とは婿の旧漢字です。織田信澄は光秀の娘婿でした。

ガラシャ

光秀の娘がお嫁に行っていたということですね。たしかに織田信澄は光秀の謀反の同盟者だと疑われていました。光秀の娘婿というだけで疑われて自害させられるなんて・・・。

憲三郎先生

別の史料には「首が堺の北の橋に掛けられた。」というものが残っています。

ガラシャ

見事すぎるとばっちりですね・・・。

憲三郎先生

謀反を起こした場合の親族の沙汰がわかる一文ですね。多聞院英俊の史料の続きに戻りましょう。

ガラシャ

はい。

ガラシャ

牢人衆って悪い人達ということですか?

憲三郎先生

違います。牢人衆というのは浪人ということで、仕える主人がいない武士のことです。天正9年に織田軍に滅ぼされた人々だと思われます。

ガラシャ

どうして織田信雄は城を開城したのですか?

憲三郎先生

史料はありませんが、おそらく織田信雄は不在で危機感を感じたのかもしれません。

ガラシャ

織田信雄に代わって被官が決断したということなのですね。

ガラシャ

近江平定の様子がわかります、そして筒井順慶は光秀の味方になってくれたのですか!いい状況ですね。

憲三郎先生

ですが、この日に状況を変える情報戦の一手が打たれます。

ガラシャ

どういうことですか?

ガラシャ

え!?織田信長も織田信忠も光秀が討取りましたよね?どういうことですか?

憲三郎先生

光秀は織田信長と織田信忠を討取りましたが、二人は自害の前に屋敷に火を放っていたため遺体の判別ができず首を取ることができなかったのだと思われます。

ガラシャ

ということは、詳しいことを知らない人は生きているか亡くなっているかわからないということですね・・・。

憲三郎先生

当日現場に居なかった者はどの情報を信用すればいいのか悩ましかったでしょうね。情報網が今ほど発達していないからこそできた情報錯乱作戦です。

ガラシャ

この後はどうなってしまうのですか?

憲三郎先生

続きは次回です。

ガラシャ

気になります!

”光秀が安土に入り大和を味方につけた一方で、
羽柴秀吉から偽の情報が放たれました。”