第105話 明智家のルールを決めましょう~明智家中軍法2~

前回は明智家中軍法を一個目から六個目までを見ていきました。今回はその続きですね!

そうですね。では、今回も史料をひとつずつ見ていきましょう。

七個目からよろしくお願いします。

一、兵士の食料の重量については、京都法度之器物(京都で作られた升)で三斗とする。ただし、遠方へ向かう場合は二斗五升とし、食料は一日八合ずつを領主から支給する。

七個目は兵糧についてのルールなのですね。升が指定されているのですか?

実はこのころの升はものによって大きさが違いました。

それって、お店によっても一升の量がちがうってことですよね。・・・軍事だけではなくて、日常生活でも困りそうです。

そうですね。そんな背景もあり、光秀のように升を指定したのは画期的だったようです。

確かに食事の量も決めておかないと、出陣中は争いのもとになりそうです。八個目はどんな内容ですか?

一、軍役の人数は百石につき六人とする。百石未満の場合もこれに順ずる。

軍役ってどういう意味ですか?

軍役とは出陣するときに、知行を持つ武将が用意する人足ということです。

百石は6人、二百石は12人ということですね。

そのほかにも準備しなくてはいけないものがあります。

どんなものですか?

それについては九個目から一八個目を見てみましょう。

はい!

一、百石から百五十石のうちは、甲をかぶった者一人・馬一頭・指物一本・槍一本を出す。

一、百五十石から二百石のうちは、甲をかぶった者一人・馬一頭・指物一本・槍二本を出す。

一、二百石から三百石のうちは、甲をかぶった者一人・馬一頭・指物二本・槍二本を出す。

一、三百石から四百石のうちは、甲をかぶった者一人・馬一頭・指物三本・槍三本・幟一本・鉄砲一丁を出す。

一、四百石から五百石のうちは、甲をかぶった者一人・馬一頭・指物四本・槍四本・幟一本・鉄砲一丁を出す。

一、五百石から六百石のうちは、甲をかぶった者二人・馬二頭・指物五本・槍五本・幟一本・鉄砲二丁を出す。

一、六百石から七百石のうちは、甲をかぶった者二人・馬二頭・指物六本・槍六本・幟一本・鉄砲三丁を出す。

一、七百石から八百石のうちは、甲をかぶった者三人・馬三頭・指物七本・槍七本・幟一本・鉄砲三丁を出す。

一、八百石から九百石のうちは、甲をかぶった者四人・馬四頭・指物八本・槍八本・幟一本・鉄砲四丁を出す。

一、千石は、甲をかぶった者四人・馬五頭・指物十本・槍十本・幟二本・鉄砲五丁を出す。馬乗一人の着到は二人分になぞらえる。

指物ってどんなものですか?

指物とは戦場で武士が自分や自分の隊の目印にした、小旗や飾りの作り物のことです。旗指物や背旗とも呼びます。

幟ってどんなものですか?

幟旗のことです。背旗と違い、手でもつ大きなのぼりのことです。

そのほかにも先ほど出てきた軍役も用意しなくてはいけないのですよね?

そうですね。千石なら、軍役600人(そのうち4名は甲着用)です。

なかなか・・・大人数でした。それにしても、随分細かく石高別に決められているのですね。

そうですね、これはとてもすごいことなのですよ。

どのあたりがすごいのですか?

当時、家臣の知行する石高を把握できていた武将は少なかったそうです。

そういえば、こないだも大和の検地に行きましたね。

しかし、光秀は家臣が知行する石高を把握していた可能性が高いと思われます。

把握してないとズルができてしまいますね。

そうです。正確に把握していないと、軍法を守っているかを判断することができなくなってしまいます。

どうして光秀は明智家中軍法を作ったのですか?

史料からは軍律を正すためとあります。

織田家の家臣としての在り方を気にしているようにも見えますね・・・。

不公平にならないように与える領地の量に応じた税金・軍役を定めたのですね。丹波は占領地だったので、住民の不満が起きないように公平を期したということでしょう。

この後の光秀はどうなっていくのですか?

続きは次回です。

気になります!
