第104話 明智家のルールを決めましょう~明智家中軍法1~

ガラシャ

光秀が定めた掟ってなんですか?

憲三郎先生

光秀が定めた明智家の掟というのは2つあります。

ガラシャ

2つですか?

憲三郎先生

明智家中軍法と明智家中法度です。

ガラシャ

詳しく教えてください。

憲三郎先生

では、今回は明智家中軍法についての史料と共に見ていきましょう。

ガラシャ

よろしくお願いします。

ガラシャ

18個の軍事行動についての掟を作ったということですね。

憲三郎先生

その通りです。

ガラシャ

どんな内容だったのですか?

憲三郎先生

では、ひとつずつ見ていきましょう。

ガラシャ

はい!

憲三郎先生

一、武者は陣地において、役者以外は大きな声を出すことや、雑談してはいけない。戦が始まった場面での軍勢配置や鯨波(敵を大声で威嚇すること)は下知に従うこと。

ガラシャ

役者ってどんな役ですか?

憲三郎先生

役者には役目に当たる人という意味もあります。この場合は号令をかける役目の人という意味だと思われます。

ガラシャ

いまさらなのですが、下知ってどういうことですか?

憲三郎先生

下知とは上から下へ指図することや命令のことです。

ガラシャ

なるほど、静かに待機して号令に従いましょうということですね。二個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

一、先鋒部隊が指図する場合は、旗本侍の到着の後、下知に従うこと。ただし先鋒部隊のみで行動を決定する場合は事前に申し聞いておくこと。

ガラシャ

先鋒部隊は先行して進んでいた部隊のことですよね?旗本侍ってどんな人のことですか?

憲三郎先生

旗本侍というのは、主君のいるところに旗を立て、その下、つまり主君の周りを固めた近衛部隊のことです。

ガラシャ

どんな仕事をしていたのですか?

憲三郎先生

戦で主君の軍旗を守る武士団を意味しており、主家からすると最も信頼できる「近衛兵」の扱いで、主君の命令を旗本が各部隊へ伝達に走ったそうです。

ガラシャ

なんだか・・・先鋒部隊は旗本侍が来るまでの偵察部隊のような雰囲気ですね。三個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

一、各々の部隊はそれぞれ足並みをそろえ、前後の部隊とも連絡を取り合うこと。 鉄砲・槍・指物・のぼり・甲立・雑卒については、置き所を法度の定めている通りにすること

ガラシャ

なんだか至極もっともなことですね・・・。四個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

一、軍が進む際、馬乗りが遅れてしまうようでは、たとえ突然の戦であっても役に立たない。このような場合は領地を没収し、時によっては成敗する。

ガラシャ

確かに足並みは揃えてもらわないと困りますが、処罰がとっても厳しいですね。五個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

一、旗本・先鋒と陣立てをするからには、足軽が敵と衝突し戦闘になる場合もあるが、それでも下知を守ること。もし乱れたことをするものがいれば、身分に関係なく処罰する。また激しい戦闘地点の使者に対しては、どんな場合でも命令に従うこと。たとえ手柄を立てたとしても「法度」に背いた罪は回避できない。

ガラシャ

どんな命令が飛び交っていたのか気になりますね。六個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

一、軍事行動や陣替の時、「陣取」として抜け駆けに士卒を遣わすことは禁止する。ただし、かねてから仔細を命じていた場合は、その到着を待つこと。

ガラシャ

士卒とは士官と兵卒。また、兵士・軍兵のこと。・・・どういう状況ですか?

憲三郎先生

陣の変更があった際に陣の中でもいい場所を取ろうとした。ということかもしれません。

ガラシャ

なんだか、明智家の中の軍事のことでこれだけの掟を作らなくてはいけないということはとても戦場は混沌としていたのですね・・・。

憲三郎先生

武将から足軽まで多くの人が集まればどれだけの問題があったか計り知れないですね。

ガラシャ

全体的に処罰が重たいような気がするのですが・・・。

憲三郎先生

戦を度々経験している者にとっては当たり前のことだったようですので、より重めの処罰を想定していたのかもしれません。

ガラシャ

七個目はどんな内容ですか?

憲三郎先生

少し長くなったので続きは次回です。

ガラシャ

気になります!

”光秀は明智家中軍法を作りました。
前半は戦でのルールでした。”