第89話 荒木村重の居る伊丹へ向かいましょう

ガラシャ

前回、敵方だった高山右近と中川清秀が味方になって摂津方面の過半は織田信長の勢力下になったのですが・・・。

憲三郎先生

そうですね。

ガラシャ

伊丹に居る敵は荒木村重の他には誰か居るのですか?

憲三郎先生

荒木元清が花隈城に立て籠もっていました。

ガラシャ

荒木元清って荒木村重とどんな関係なのですか?

憲三郎先生

荒木元清は荒木村重の親戚の家系に生まれ、初めは村重の家臣として、花隈城主となっていました。

ガラシャ

花隈城ってどの辺りですか?

憲三郎先生

花隈城は兵庫県神戸市中央区花隈町の辺りにあります。現在は、花隈城の本丸跡が公園となっており「花隈城跡」と石碑があるそうです。

ガラシャ

なるほど、戦いの様子も詳しく教えてください。

憲三郎先生

では、今回も史料を順に見ていきましょう。

ガラシャ

よろしくお願いします。

憲三郎先生

天正6年11月27日に織田信長は郡山から古池田に陣を移しました。

ガラシャ

郡山と古池田ってどの辺りですか?

憲三郎先生

大阪府茨木市と大阪府池田市の辺りです。

ガラシャ

少しずつ伊丹に近づいていますね。

憲三郎先生

この日の夕方中川清秀が織田信長に挨拶する為に参上しました。

憲三郎先生

11月28日に織田信長は小屋野まで進出し、四方から詰め寄って要所要所に陣を構えるように命じました。

ガラシャ

小屋野ってどこですか?

憲三郎先生

兵庫県伊丹市北部に昆陽という地名があるのですが、「こや」と読みます。昆陽の野で昆陽野というそうです。

ガラシャ

これは、難読漢字ですね。小屋野に進出した後織田信長はどうしたのですか?

憲三郎先生

一帯の農民たちが揃って冑山へ逃げ込んだので、堀秀政・万見重元に山々を捜索させました。

ガラシャ

あら、大変ですね。

憲三郎先生

発見された農民たちは切り捨て、兵糧や物資を徴発してきました。

ガラシャ

えっ・・・なんだか予想と違いました。

憲三郎先生

次いで滝川一益・丹羽長秀を出陣させ、両軍は西宮・茨住吉・芦屋の里・雀ガ松原・三陰の宿・滝山・生田の森へ進出しました。

ガラシャ

また地名がいっぱいです・・・。

憲三郎先生

今の地名だと西宮・茨住吉・芦屋・松原・御影・滝山・生田の森です。

ガラシャ

小屋野から北に降りて海沿いに進出していったのですね。

憲三郎先生

そして花隈城に立て籠もる荒木元清を包囲して封じ込め、山手を通り兵庫へ出陣しました。

ガラシャ

進出はどんな様子だったのですか?

憲三郎先生

僧俗・男女問わず撫で切りにし、堂塔・伽藍・仏像・経巻を一斉に焼き払い、須磨・一ノ谷まで進み、火を放ちました。

ガラシャ

さっきの農民の時も思いましたが、容赦が無いですね・・・。

憲三郎先生

摂津といえば荒木村重の他に何か思い出しませんか?

ガラシャ

・・・あ!石山本願寺!

憲三郎先生

そうです。

ガラシャ

毛利の軍勢に気を取られていてすっかり忘れていました。

憲三郎先生

毛利勢600の船団も、石山本願寺の兵糧補給の為だと言われているようです。

ガラシャ

なるほど、逃げた農民も一揆勢だったのですね!だから容赦が無かった・・・納得しました。

憲三郎先生

12月1日の夜に小屋野にいる織田信長のところに、蜂須賀正勝の斡旋で安部二右衛門・芝山監物が挨拶に来ました。

ガラシャ

どなたですか?

憲三郎先生

芝山監物はすでに織田方に転じていた摂津の国衆で、安部二右衛門は大和田という交通の要になる場所の城主で、蜂須賀正勝は羽柴秀吉の家臣です。

ガラシャ

蜂須賀正勝が荒木村重配下の二人を織田方にと引き入れたということですね。

憲三郎先生

ところが、このあと一悶着起こります。

ガラシャ

え?

憲三郎先生

安部二右衛門の父と伯父が「荒木村重を裏切ることはできない」といって天守に立て籠もります。

ガラシャ

え~・・・。安部二右衛門はどうするのですか?

憲三郎先生

「織田信長の敵に回る」と父と伯父をだまします。

ガラシャ

予想外の展開・・・。

憲三郎先生

伯父は荒木村次へ使者に出し、父は天守から降りてきたところを取り押さえて織田方に人質として差し出しました。

ガラシャ

おぉ・・・あれ?伯父は使者として何をしにいったのですか?

憲三郎先生

簡単に言うと「以前と変わらず味方です。」と伝えに行ったというところですね。

ガラシャ

安部二右衛門は荒木の油断を誘うお土産付きで織田信長の味方になったと・・・織田信長がすごく喜びそうな手腕ですね。

憲三郎先生

12月3日に安部二右衛門は再び小屋野に参上し事の経緯を説明し、褒美を賜りました。

ガラシャ

やっぱり。

憲三郎先生

12月4日に滝川一益・丹羽長秀は兵庫・一の谷を焼き払って軍勢を引き返し、伊丹をにらんで塚口に陣を張りました。

ガラシャ

ついに決戦でしょうか?

憲三郎先生

続きは次回です。

ガラシャ

気になります!

”伊丹進軍は一揆勢との戦いでもあった!?
残すところは荒木村重のいる伊丹城です。”