第75話 番外編 光秀のかかった病気

ガラシャ

前回、光秀が風痢になったって・・・ところで、風痢ってどんな病気なのですか?

憲三郎先生

調べたところによると、風痢とは細菌性の腸疾患のことです。現代で言う赤痢のことですね。

ガラシャ

赤痢・・・。

憲三郎先生

赤痢の潜伏期間は、1~5日程度で、症状は発熱ではじまり、腹痛・下痢が続き、人によっては吐き気・嘔吐を伴うこともあるそうです。

ガラシャ

1~5日程度って事は、織田信長が助けに来てくれた後に感染したのですね・・・。

憲三郎先生

一般的に成人よりも乳幼児・小児・高齢者で重症化しやすいそうです。

ガラシャ

光秀はこの時は61歳ですから高齢者ですね・・・。

憲三郎先生

赤痢菌属は、生化学的な特徴や抗原性の違いから、A~Dの4つに分けられており、これらがそれぞれ独立した種として扱われているそうです。

ガラシャ

そんなに種類が・・・。

憲三郎先生

A群赤痢菌による細菌性赤痢の致死率は高く、それ以外によるものは重症例が少なく、1週間程度で回復するそうです。

ガラシャ

どうやって治療していくのですか?

憲三郎先生

現代の治療方法は抗生物質などによる化学療法が用いられるようです。しかし、赤痢菌には薬剤耐性を獲得したものが多く、有効なワクチンはまだ開発されていないようです。

ガラシャ

現代でも・・・。戦国時代では絶望的な病気ですね。

憲三郎先生

日本において、細菌性赤痢は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の三類感染症に指定されており、感染が確認されたら医師は診療後、速やかに保健所に報告する義務があります。

ガラシャ

コレラやO-157も三類感染症なのですね。

憲三郎先生

以前は二類感染症に指定されていましたが、2006年(平成18年)12月8日の法改正と同時に三類感染症に変更され、強制隔離措置は廃止されたようです。

ガラシャ

もっと危険視されていたのですか?

憲三郎先生

1897年には日本で赤痢が大流行し多くの人が亡くなりました。

ガラシャ

・・・そういえば親戚のおじいさんから聞いたことがあります。

憲三郎先生

日本の細菌性赤痢患者数は、戦後しばらくは10万人を超え、2万人近く亡くなっていて、1965年半ば頃から激減し、1974 年以降は1,000人前後で推移しているそうです。

ガラシャ

すごい人数ですね。

憲三郎先生

現代でも、保育園・ホテル・施設での集団感染や井戸水を原因とする大規模感染、カキ喫食が原因とみられる多数の患者が全国規模で報告されているようです。

ガラシャ

過去の病気ではないのですね・・・。

憲三郎先生

赤痢にはアメーバ赤痢という、赤痢菌では無くアメーバによって引き起こされるものもあり、細菌感染症ではなく寄生虫症に分類され、五類感染症に分類されているそうです。

ガラシャ

アメーバ!?

憲三郎先生

赤痢アメーバが大腸に寄生したことによって引き起こされる赤痢で、まれに肝膿症や脳・肺・皮膚などへの合併症が報告されているそうです。

ガラシャ

こちらも怖い病気です。どうして感染してしまうのですか?

憲三郎先生

細菌性赤痢もアメーバ赤痢も、菌やアメーバのつくるシストによって汚染された食物や水を介して経口感染が多く、この他、患者の排泄物を処理した後の手指を介しての経口感染や、ハエによる媒介によって汚染された食物から感染する例もあるそうです。

ガラシャ

体の中に菌が入ってしまうとどうなるのですか?

憲三郎先生

酸に対する抵抗性は比較的高いので胃酸による殺菌を受けにくく、少量(10-100個程度)の菌でも発病してしまうそうです。

ガラシャ

胃酸に勝ってしまうのですか・・・。

憲三郎先生

汚染された食物や水とともに侵入した赤痢菌は、胃酸による殺菌作用を受けながらも大部分生き残り、腸管内に到達して小腸内で増殖し、大腸に到達してそこで腸管上皮細胞に感染して増殖します。

ガラシャ

大腸から内部に入ってきてしまうのですか?

憲三郎先生

いいえ、赤痢菌は腸管の内側からは、ほとんど侵入できないそうです。

ガラシャ

え?

憲三郎先生

消化管に到達した赤痢菌は、腸管上皮にあるパイエル板に近接するM細胞に取り込まれ、これを介してマクロファージによって取り込まれます。

ガラシャ

え??

憲三郎先生

取り込むことで抗体を作ろうとする免疫の機能です。

ガラシャ

体が赤痢菌をやっつけようとする働きですね。

憲三郎先生

しかし赤痢菌はマクロファージの殺菌から逃れて逃げ出し、腸管の基底膜側に到達し、内側から腸管上皮細胞たどり着き増殖するそうです。

ガラシャ

え!?逃げちゃうのですか?

憲三郎先生

赤痢菌の感染による上皮組織の傷害や感染したマクロファージ・腸管上皮細胞が放出する炎症性サイトカインという成分によって白血球が遊走し、組織の炎症を生じることによって出血性の下痢が起こると考えられているそうです。

ガラシャ

・・・だから赤痢ですか。

憲三郎先生

さまざまな感染症と同じで、予防には患者を完全に治療することと、環境衛生を改善することが最も重要だとされています。

ガラシャ

衛生的な環境って戦中は余計に難しいですよね?

憲三郎先生

河内での戦は籠城戦にもなりましたから、厳しい環境だったのでしょうね。

ガラシャ

こんな怖い病気にかかって光秀はどうなってしまうのですか?

憲三郎先生

続きは次回です。

ガラシャ

気になります!!

”光秀のかかった病気は赤痢という
現代でも三類感染症に指定されている怖い病気でした。”