第31話 撤退!しんがりを務めよう。しんがりのお仕事ってなに?

ガラシャ

すっかり寄り道をしてしまいましたが、越前を攻めていてもうすぐ一乗谷!ってところで浅井家の裏切りでしたよね?

憲三郎先生

そうですね。

ガラシャ

絶体絶命のピンチです。光秀はどうしたんですか?

憲三郎先生

光秀は幕府軍として織田軍と共に居ました。

ガラシャ

織田信長はどうゆう決断を?

憲三郎先生

織田信長は浅井家との同盟を信じていたので浅井長政の寝返りを聞き、初めは「虚説たるべし」と言っていましたが遂に退却を決めました。

ガラシャ

でも挟み撃ちですよ?どうやって逃げるんですか?

ガラシャ

朽木って前に出てきたあの朽木氏の朽木ですか?

憲三郎先生

そうです。琵琶湖の西ですね。

ガラシャ

残されたのはわかったんですが・・・しんがりってなんですか?

憲三郎先生

軍が退く時、最後尾にあって、追って来る敵を防ぐこと。またその部隊のことです。

ガラシャ

え。危なくないんですか!?

憲三郎先生

危ないですよ。とても危ないです。本軍が逃げていく時に敵に背後を見せてしまうというとても厳しい状況の中で、しんがりは敵の追撃を阻止し、本軍が逃げる助けをするのです。

ガラシャ

危ないだけじゃ無くて、とっても難しそうです・・・。

憲三郎先生

そうですね。本軍から応援は無く、限られた戦力で敵の追撃を食い止めなければいけない最も難しい危険な任務です。

ガラシャ

どうゆう人がしんがりを任されたんですか?

憲三郎先生

古来より武芸・人格に優れた武将が務める大役とされてきました。

ガラシャ

人柄?人柄は関係あるんですか?

憲三郎先生

過酷な任務ですから少ない仲間を率いてやり遂げるには、強さだけで無く人柄が無いとしんがりは務まりませんでした。

ガラシャ

それは・・・。選ぶのも大変ですね。

憲三郎先生

撤退戦のしんがりという厳しい役割を光秀が務めたのは、羽柴秀吉と池田勝正が撤退するために地理に詳しい光秀が必要だったからです。度重なる戦経験も買われたのかもしれません。

ガラシャ

あれ?でも有名なのは羽柴秀吉だけでしたよね?

憲三郎先生

そうなんです。実は『信長公記』には羽柴秀吉を金ヶ崎城に残したと書かれていますが、光秀が残ったことは書かれていません。

ガラシャ

どうしてですか?

憲三郎先生

それはこの時の光秀は、幕府奉公衆で、信長の家臣ではなかったからです。

ガラシャ

もしかしてどこかに史料が?

憲三郎先生

奉公衆の一色藤長が丹波の武将・波多野右衛門に宛てた書状に羽柴秀吉と共に光秀と池田勝正を残したことが書かれてます。

ガラシャ

なるほど、幕府からも織田軍からもで連合軍感があります!でもなんとか逃げられたようで良かったです。

ガラシャ

あ!そうか逃げては来たけど若狭までは平定していましたね。でもなんでその二人なんですか?

憲三郎先生

幕府と織田軍、それぞれからの上使という位置付けですね。

ガラシャ

ここにも連合軍感が!

”光秀は、しんがりという危険で難しい大きな任務を果たした。”